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DISEASE
性感染症(STD)について
性感染症(STD)は性行為(粘膜接触)を行うことで感染する病気です。
梅毒
梅毒について
梅毒は2011年を境に現在に至るまで、急激に患者数が増加しています。2023年の感染者は最も多く、約3700人でした。特に若い女性を中心に増加傾向にあり、梅毒に感染していることに気が付かずに妊娠をしてしまうと、出産時の母から新生児への産道感染を引き起こす可能性があります。
症状について
感染してから症状が出るまでの期間は約3週間です。 感染してから3週間、3ヶ月、3年を目安に症状を変えて身体に異変が生じます。目に見える症状は消失することもありますが、梅毒は静かに進行し重症化していきます。
第1期(感染後から3週間後から3ヶ月の間に症状が現れる時期)
性器や肛門、口唇などの感染部位に硬いしこり「初期硬結(しょきこうけつ)」ができます。
男性:亀頭や陰茎、冠状溝(亀頭と陰茎の間の部分)、性器周辺の皮膚
女性:膣内、大陰唇・小陰唇周辺の皮膚。
男女共通して口唇にできることもあります。これらの症状は痛みを伴わなかったり、見えにくい部位に症状がでた際は見逃してしまうこともあります。また、治療せずに放置をしていても、2〜3週間ほどで症状は消えて無症状になります。
第2期(感染してから3ヶ月以上経過した時期)
時期の経過と共に菌が血液を介して全身に広がり、粘膜や、手のひら、足の裏を含めた全身に現れます。 発熱や倦怠感、頭痛、リンパ腺の腫れ、のどの痛みや筋肉痛といった症状をはじめ、梅毒性バラ疹、梅毒性脱毛、扁平コンジローマ、梅毒性粘膜疹などが見られることもあります。
第2期の症状も第1期と同じように、時間の経過とともになくなりますが、感染症が完治した訳ではありません。 症状に気づく事なく、そのまま放置していた場合は、第3期梅毒へと進行してしまいます。
3ヶ月から3年に渡り、再発、無症状を繰り返し、第3期、4期に移行していくことがあります。
治療
・サワシリン/アモキシシリン250mgによる内服治療。1日3回、1回2錠ずつを28日継続。
※ペニシリン薬剤へのアレルギーがある方はサワシリンによる内服治療が実施できませんので、他薬剤をご案内致します。
・ミノマイシン100mgによる内服治療。1日2回、1回1錠ずつを28日継続。
※テトラサイクリン系薬へのアレルギーがある方はミノマイシンによる内服治療が実施できません。
副作用
発疹、かゆみ、発熱、下痢、軟便、吐き気、嘔吐、食欲不振、腹痛、味覚異常など。
HIV
HIVについて
や粘膜の接触で感染するので、性行為以外では輸血、針刺し、 出産時などでも感染します。 HIVが感染すると、白血球数が減少していき、8年くらいで免疫機能が障害されます。この状態をAIDS(後天性免疫不全症候群)と言います。健康な人であればかからないような感染症にかかりやすくなり、命に関わることになります。 今は抗HIV薬によりAIDSの発症を長期に抑えることが可能になり、命を奪われる疾患ではなくなっています。
症状について
感染してから症状が出るまでの期間
初期感染は、HIV感染から2〜6週間その後潜伏期間、無症侯期5〜10年程度。短期間でAIDSを発症する場合もあります。
感染期(HIV感染から2〜6週間)
HIV感染者の50%〜90%に症状が出ます。風邪やインフルエンザと似た症状で、発熱、リンパ節が腫れる、咽頭炎、皮疹(ひしん)、筋肉痛、頭痛、下痢等の症状があらわれます。数週間程で症状が消えてしまい5〜10年程の無症候期に入ります。 症状が軽度の為、風邪やインフルエンザと自己判断してしまい、気がつか ないことも多いです。
無症候期(5〜10年程)
ときに短期間でAIDSを発症する場合もあります。免疫力は徐々に弱くなっていきますが、特に症状が出ない無症状の期間があります。 AIDSを発症すると、さまざまな病気(日和見感染症)が併発します。 代表的な症状として急激な体重の減少、著しい寝汗、下痢等が続き、適切な治療を行わなければ数年で死にいたる事があります。
感染率
感染力は弱いが、HIV以外の性感染症(STD)に感染していて粘膜や皮膚に炎症や傷があると、HIVのリスクが高くなります。 日本では約3万人の感染者がおり、毎年1500人程度が新しく感染しています。
感染が多いグループとして、ゲイ、バイセクシャルなどの男性同士で性行為を行うグループ、薬物使用者(注射器での感染)があげられます。
予 防・治療
HIVの検査は採血です。2段階で行われます。一次検査を行い、二次検査で確定します。 一般的に感染してからある程度の期間がたたないと陽性になりません。性交渉が定期的にある人は一度はHIV検査を推奨しています。
ゲイ、バイセクシャルの人と性行為がある人、風俗従事者や金銭授受を伴う性行為がある人は1年に一度、HIV検査をしましょう。 他の性感染症が見つかったとき(特に梅毒)や、妊娠を考えるときは、都度HIV検査をしましょう。
予防について
コンドームの着用により感染のリスク軽減が可能です。
治療について
HIV感染症の治療は3〜4種類の抗HIV薬を組み合わせて内服する多剤併用療法が基本です。近年では、2〜3種類の成分が1錠の中に含まれた合剤が多数でており、1日1回1錠内服での治療も可能となっています。
また、最近の抗HIV薬は以前のものと比べて治療効果が高いため、ある一定の条件を満たす患者さんでは、2種類での治療でも治療効果は3種類の薬と比べてひけをとらないとされています。
さらに、ウイルスがすでに十分抑制されていることが条件ですが、1〜2か月に1回の筋肉注射の薬も登場しております。 抗HIV薬を中途半端に中止してしまうと、薬が効かなくなってしまいます。
治療を行う際には、医師の説明をよく聞き、積極的に治療方針に参加することが必要です。
B型肝炎・C型肝炎
B型感染について
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が、血液や体液を介して感染する肝臓の病気です。 血液や、体液を介して感染するため、性的接触、粘膜の接触により感染する可能性があります。
HBVは、感染した時期や健康状態によって、一時的な感染に終わるもの(一過性感染)と、ほぼ生涯にわたり感染が継続するもの(持続感染)とに大別されます。
現在、国内のHBV感染者数は、110万〜140万人といわれていますが、そのほとんどが母子感染(垂直感染)によるものです。 以前は輸血による感染もありましたが、1972年にHBs抗原検査が開始されてからは、輸血によるHBV感染者数は減少しており、現在ではその危険性はほとんどありません。
我が国の成人における急性B型肝炎の多くは、性感染によるものと考えられています。
B型肝炎の症状について
B型肝炎の症状は、急性肝炎と慢性肝炎に大別されます。
急性肝炎
感染してから1〜6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感や食欲不振、悪心、嘔吐のほか、濃いウーロン茶のような褐色尿が出る、目の白い部分(眼球結膜)が黄色くなって、その後皮膚も黄色みを帯びてくる黄疸などの症状が出現します。
中には、激しい炎症による肝不全を起こすことがあります。このような症状があれば、速やかに医療機関を受診することが必要です。
第2期(感染してから3ヶ月以上経過した時期)
時期の経過と共に菌が血液を介して全身に広がり、粘膜や、手のひら、足の裏を含めた全身に現れます。 発熱や倦怠感、頭痛、リンパ腺の腫れ、のどの痛みや筋肉痛といった症状をはじめ、梅毒性バラ疹、梅毒性脱毛、扁平コンジローマ、梅毒性粘膜疹などが見られることもあります。
第2期の症状も第1期と同じように、時間の経過とともになくなりますが、感染症が完治した訳ではありません。 通常はこの段階までで、梅毒の発見及び治療を行います。ですが、症状に気づくこなく、適切な治療を行えず、そのまま放置していた場合は、第3期梅毒へと進行してしまいます。
3ヶ月から3年に渡り、再発、無症状を繰り返し、第3期、4期に移行していくことがあります。
C型肝炎について
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することにより起こる肝臓の病気です。
血液や体液を介して感染するため、性的接触、粘膜接触により感染する可能性もあります。
HCVに感染すると約70%の人が持続感染者となり、生涯に渡り感染が継続する場合があります。
C型肝炎の症状について
HCVは、血液を介して感染し、2〜14週間の潜伏期間を経て急性肝炎を起こす場合があります。
ですが、急性肝炎を起こすことは比較的まれで、多くは感染しても自覚症状がない場合が多いです。
また、60〜80%の人では、ウイルスが自然に排除されることなく慢性化し、慢性肝炎になると言われています。肝硬変や肝がんが末期状態に進行しますと肝不全状態となり、黄疸や腹水貯留、意識障害が進行していきます。
赤痢アメーバ
赤痢アメーバについて
赤痢アメーバという原虫が感染することで、赤痢アメーバ症を発症します。
感染経路としては、赤痢アメーバの感染嚢子(シスト)が付着している肛門を直接舐めたり、肛門に触れた手で口に触れることが原因となる性的接触による感染(糞口感染)と、赤痢アメーバの感染嚢子(シスト)に汚された飲食物等を経口摂取することが原因となる感染(経口感染)があります。シストが消化管に入ると、小腸で脱嚢して様々な症状を起こします。
症状について
感染した方に症状が現れる確率は約5〜10%といわれています。大腸の粘膜が潰瘍を起こすことによって血便や下痢、排便時の下腹痛などの症状が起こります。
典型的な症状としてイチゴゼリー状の粘血便がでることが有名です。発熱や上腹部痛、食欲不振や嘔吐などの症状が見られますが、日ごとに変化し、数週間の間隔で増悪と寛快を繰り返します。
症状が悪化すると腸穿孔(ちょうせんこう:腸に穴が開く)を起こす事があります。
また、赤痢アメーバが、血液の流れに乗り肝臓や肺、脳や皮膚などの各臓器に膿が溜まることがあります。肝膿症(肝臓に膿が貯まる病気)がもっとも頻度が高いとされています。
予防・治療
HCVは、血液を介して感染し、2〜14週間の潜伏期間を経て急性肝炎を起こす場合があります。ですが、急性肝炎を起こすことは比較的まれで、多くは感染しても自覚症状がない場合が多いです。
また、60〜80%の人では、ウイルスが自然に排除されることなく慢性化し、慢性肝炎になると言われています。肝硬変や肝がんが末期状態に進行しますと肝不全状態となり、黄疸や腹水貯留、意識障害が進行していきます。
予防について
アメーバ赤痢は、肛門性交などによる糞口感染や汚染された食品や飲み物を摂取することで感染します。不特定多数との性行為を避ける、性風俗の利用を控える、コンドームを使用する、肛門への口腔接触を避けることが大切です。
治療について
メトロニダゾールの内服治療を行います。赤痢アメーバ症の陰性判定のために治療終了1〜2週間後に糞便検査を行います。メトロニダゾール治療後に、パロモマイシンによる根治療法も推奨されています。
注意事項
フラジール内服錠には、アルコールの分解を阻害する成分が含まれているので、治療中にお酒を飲むと、急性アルコール中毒を引き起こす可能性があります。内服中から内服終了後3日間は、飲酒を控えるようお願い致します。
副作用
発疹、食欲不振、吐き気、胃不快感、暗赤色尿など。
トリコモナス
トリコモナス症について
トリコモナスの感染源は主に性行為です。ですが、下着やタオル、便器や浴槽といった場所から感染する可能性あります。
症状について
女性は膣炎や膀胱炎、男性は尿道炎を起こし、痛みやかゆみの症状が現れたりしますが、自覚症状がないことも多いです。 感染していても症状が出ないという感染者の方は、約20〜50%います。
症状は個人差がありますが、潜伏期間は男性の場合10日前後、女性の場合は5日〜14日前後です。 その為、気づかずに放置するといったケースが多いです。
放置してしまうと、病気は悪化する一方で通常自然に治ることはありません。感染していると不妊や流産の原因となるため治療が必要です。
予防・治療
予防について
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不特定多数との接触は避ける。
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コンドームの着用を正しく行う。
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生理中はトリコモナスが繁殖しやすい環境の為、生理中の接触も控える。
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希に濡れたタオルの共有やお風呂に一緒に入ることで感染するケースもあり、タオルの共有などは避ける。
治療について
抗原虫剤の内服により、治療を行います。
性の場合、腟トリコモナス症は、膣錠にて治療を行います。 抗原虫剤内服中は、飲酒が禁忌になります。性感染症(STD)は治療薬が確立している、治せる病気です。アドヒアランスを守り、適切な治療を行いましょう。